シュスラーソルトについて
(2024.4.27.作成)(2024.5.7.更新)
A.基本情報
◆1.ホメオパシーとシュスラー博士のバイオケミカル治療法
◆2.ホメオパシーのレメディとシュスラーソルトの違いは?
◆3.シュスラーソルト(無機塩)の働き
◆4.シュスラーソルトを選択する時の重要な視点
◆5.シュスラーソルトは、どれくらい速く作用するのか?
◆6.拮抗作用
◆7.投与量と副作用
◆8.顔診断
◆9.臓器時計
B.基礎的な使用事例
[1]健康な冬を過ごすために
◆1.予防
◆2.鼻風邪
◆3.熱
◆4.腰痛と突き刺すような痛み
◆5.ヘルペス
◆6.湿った寒い天気で悪化
◆7.頭痛と前頭洞炎
◆8.咳はみな同じではない
[2]炎症の3段階
[3]2つの例、赤い顔
[4]ガン治療
[5]その他
C.臨床事例
◎<ケース1>113kgの病的なメタボリックシンドローム
◎<ケース2>繰返し起こる椎体のズレ(脊椎すべり症)
◎<ケース6>慢性の副鼻腔炎
◎<ケース9>老人性白内障・黄斑変性症
◎<ケース12>肝硬変と出血性の膀胱腫瘍
◎<ケース14>線維筋痛症
◎<ケース15>子宮脱
◎<その他のケースの抜粋>
A.基本情報
◆1.ホメオパシーとシュスラー博士のバイオケミカル治療法
シュスラー博士のバイオケミカル治療法(シュスラーソルト)では、病気に罹って
いる人にわずかな量を投与する。微量の投与というと、一般の人はすぐにホメオパ
シーのことを思い浮かべるが、ホメオパシーの原則は「類似のものは類似のもので
治すことができる」であり、バイオケミカル治療法の原則は「不足のものは不足の
ものでシグナルを入れて補う」である。
*シュスラーソルトの呼称は、バイタルティッシュソルト、単にティッシュソルト
とも言われますが、ここでは「シュスラーソルト」と記載します。
◆2.ホメオパシーのレメディとシュスラーソルトの違いは?
ホメオパシー的に製造したレメディ(治療薬)と、相応するシュスラーソルトに違
いは全くない。
ただ、シュスラーソルトのポーテンシ―レベル(希釈度)は、3X(まれ)、6X、
12Xで投与する。狙いは、細胞の有機的組織の臓器栄養レベルに呼びかけたいので
ある。言い換えるなら、細胞の直接的な代謝に積極的に影響を与えたいのである。
不足している場合には、吸収力を高め、過剰になっている時には、排泄を促進して
くれます。体には何の害もなく、体の自然治癒力を動かし、自分の正常なバランス
を取り戻そうとすることで、微量元素のバランスが取れてくるのです(サプリメン
トのような形で外部から補うという発想では、根本的な解決にはなりえない)。
ホメオパシーのポーテンシ―レベルは、30Xとか、より高いレベルのものを、上述のとおり違った観点から選択し投与する、という違いがある。
(補足)ポーテンシ―レベル、Xについて
シュスラーはホメオパスであったので、無機塩をホメオパシーの規則通りに調整し
た。すなわち、無機塩1に対して乳糖9の分量を取り(比率1:10)、それを激しく
混ぜ合わせて1Xを得る。さらに、1Xの1に対して乳糖9の分量を取り、激しく混ぜ
合わせて2Xを得る。この手順を、6Xまたは12Xまで繰り返して行う。純粋な計算
上では、6Xでは[1:1,000,000]=100万倍希釈となり、12Xの場合には1兆倍希釈となる。
なお、ポーテンシーの「X」と「C」の違いは<1><2><3>をご覧ください。
◆3.シュスラーソルト(無機塩)の働き
シュスラーソルトは、ホメオパシー的に調整されている事から、もはや物質的に作
用しているのではなく、ただ刺激として、いわばシグナルとして作用している(なので、光のはりのパワーでも同様の高い効果が得られる可能性あり)。
一見、体内に無機塩を持ち込んで体の不足を補って調整しているように見えるかも
しれないが、体内に存在する無機塩(=生命組織塩)が体内の適切なポジションに配置されるように、そのきっかけを与える役割を果たしている。
もう少し説明を加えると、物質的なもので補おうとするのではなく、生命組織塩の
バランスが崩れている事を自らに気づかせ、不足しているミネラルを食物から吸収
していけるようにする。その為には、生命組織塩をレメディ化したもの(=シュス
ラーソルト)によって生命力エネルギーに刺激を与えて活性化させ、食物からの吸収力を高めてあげる。
というわけで、摂る「量」よりも、摂る「回数」の方が重要。なぜなら、(イメー
ジ的に説明すると)治る回路の接触が悪い、つまり、真空管みたいに何度もカチカチしないとスイッチが入らない、ということなので「回数」が重要となる。
なお、最終的な治癒に至るまでには、何種類かの刺激やシグナルが必要となること
も多い。慢性のケースでは、病気になった有機的組織が安定化するまで、この刺激
療法を何週間も何ヶ月も継続することに意味がある。その際、必要な刺激を引き起すために1錠の投与で十分な所を、一度に10錠投与してしまっても問題はない。
◆4.シュスラーソルトを選択する時の重要な視点
シュスラーソルトの選択にあたっては、全体的な観察が大切である。
その時に重要なのは、病気を引き起こす病原体ではなく、病気が個々の人間にどの
ように現れているか、という視点で観察することである(現代医学のやり方と大き
く違う点で、ここでは「顔」と「舌」の変化だけに着目している。一見、結果アプローチ的なものに見えるが、きちんと原因アプローチになっている)。
◆5.シュスラーソルトは、どれくらい速く作用するのか?
最初に、現在の症状が急性病か慢性病かを明らかにしなければならない。
風邪の始まりのように急性病なら、No.3ファーランフォス12Xを1時間ごとにとるように勧める。舌には舌苔があってはならないし、きれいでなければならない。
もしも鼻汁が多量に流れる鼻風邪で苦しんでいて、一日中鼻汁を垂らしているな
ら、No.8ネイチュミュア6Xを勧める。花粉症の時には、No.3とNo.8のコンビ
ネーション(交互にとる)も、必要な時には10~15分間隔でとれば、かなり短時間で素晴らしい結果をもたらすことができる。
◆6.拮抗作用
シュスラーソルトは常に1つ1つ与えられるべきである。2つ以上の混合はできるだけ避けること。同じ日に、2つのシュスラーソルトを交互に与えなければならない場合は、
・カルシウムとナトリウム
・カリウムとナトリウム
・カリウムとカルシウム
がそれぞれ対極関係にある為にぶつかり合うということに注意を払うべきである。
このことから、カルシウム化合物、カリウム化合物、ナトリウム化合物と交互に与えてもよいのは、No.3ファーランフォス、No.7マグフォス、No.11シリカだけであることが明らかになる。
但し、緊急の場合には、複数の種類を同じ日にとってもよい。
◆7.投与量と副作用
急性状態では、1~2時間ごとに1投与量(=1錠=5滴)をとる。間隔は、必要な場
合には、はっきりとした改善が生じるまで15~30分ごと、あるいは5分ごとに1投与に縮めてもよい。
慢性状態では、例えば慢性の咳では、通例1日3~4回×1投与を常に食前摂取。シュ
スラーソルトだけをとるのが一番よい。
No.3、7、11は、全てのシュスラーソルトとのコンビネーションが可能である。
ただ注意すべきなのは、カリウム、ナトリウム、カルシウムはお互いに拮抗する働
きをもつので、(同日ではなく)毎日連続して日替わり投与する方が賢明である。
規定通りに使用すれば、副作用や他の薬物との交互作用も観察されていないし、禁
忌も存在しない。また、どのシュスラーソルトも、胎児の健康を害する作用がある
として市場から排除されたことはない。誕生の日から死亡する最後の日まで使用することができる。
けれども、あまりにも多くの錠剤をとり過ぎると、そこに含まれる乳糖がすぐに便
通を促すように作用することがある。乳糖アレルギーの人は、液状フォームを選択すべきである。
◆8.顔診断
顔診断をする際には、第一に顔の肌の外見の変化が問題となる。顔色、光沢、影、
しわを詳しく観察する。さらに、目・皮膚・爪・舌の変化や、痰や分泌物などの
特徴をそれに付加える。化粧品などを塗っていると、特徴がうまくつかめなくな
る場合もあることに注意してほしい。これは慢性の中毒(例えば喫煙)の場合も
当てはまる。
顔の観察は、日当たりのよい場所で1~2m離れて行う。直射日光や人工光によっ
て、本来の色の変化や影の投射が見えなくなってしまうことがあるからである。
観察の前には、固定観念や身体の緊張状態にとらわれないようにする。そうするこ
とができた時にのみ、この「芸術的な仕事」はうまくいくのである。
なお、初心者が顔診断すると、生化学的に不足しているシュスラーソルトが2つか
3つ、あるいはそれ以上あると思うことがよくある。それは的確で、複数のシュス
ラーソルトが不足することによって引き起こされ、重なり合った障害が問題となっ
ている可能性がある。そういう場合には、最も不足していると考えられるシュスラ
ーソルトを、第一に与えるべきだろう(各シュスラーソルトの説明に基づき、問題
となる成分を慎重に検討し、最終的に1つのシュスラーソルトを選択する)。
必要な成分を正確に選択する為には、その成分像から示唆を得る。専門家は、類似
の疾病像を区別する為に、鑑別診断という概念を用いる。我々は疾病像を区別する
だけでなく、病気に付随する症状、例えば「暖かさで好転」とか「暖かさで悪化」
という情報を元に区別することを望む。鑑別診断をヒントにすればシュスラーソル
トの選択が容易になるだろう。場合によっては、日替わりで次に重要なシュスラー
ソルトが分かることもあり得る(ただし服用規則を守ること!)。常に全体印象を踏まえて検討すべきである。
◆9.臓器時計
まず、臓器時計の基本的な見方について説明する。
肉体的な苦痛が現れる時刻(常に地域の標準時が原則!)を見て、それから臓器時計を見ると、対応する機能障害が読み取れる。
例えば、午前1~3時に目が覚めて、もう寝入ることができない人は、エネルギー的な肝臓機能障害がある。
一方、喘息の人は、午前3~5時にベッドの端に腰かけてあえいでいる。この時間帯は肺の最高活動時間に相当する。
更に、臓器時計を見ると、誰でも時計回りのエネルギーの流れ、及び陽から陰へエネルギーの流れを読み取れる。
以上を頭に入れて、この図がどう役立つのか具体的に示す。
炎症を起こした細胞の治療の為、また、発生した毒素や老廃物の除去のために反応
できる体は、病巣箇所に対して増加エネルギーを送る。しかし、急速なエネルギー
交換がもはや不可能な場合(体が衰弱している場合)、エネルギーは当該の経絡で
停滞する。そのようなとき、臓器最高活動時間やエネルギーの流れ、そして12のシ
ュスラーソルトの知識があれば、再び効果的に気を流せるようになる。
(補足)
「シュスラー博士の顔診断」(P.31)には、臓器時計の図の中に各臓器最高活動時
間の経絡に対応するシュスラーソルトが対置されている。ネット上にアップされて
いないので以下羅列しておく。
No.1(三焦)、No.2(胆のう)、No.3(心臓)、No.4(大腸)、
No.5(小腸)、No.6(肝臓)、No.7(膀胱)、No.8(腎臓)、
No.9(心包/血液循環)、No.10(脾臓/膵臓)、No.11(肺)、No.12(胃)
B.基礎的な使用事例
[1]健康な冬を過ごすために
◆1.予防
風邪の予防・引き始めに「No.10ナットソーファー6X」で身体独自の防御細胞を活
性化することができる。我々の有機的組織の全細胞を徹底的に掃除し、冬の期間を
うまく耐え抜くために必要な力を与えてくれる(細菌やインフルエンザウイルスの
攻撃に的確に反応できるようになる)。
冬期を無事に耐え抜くためには、1日3~4回×1投与(=1錠、または5滴)をゆっくりと舌の上で溶かすことが役立つことが多い。
◆2.鼻風邪
鼻汁が出始め、全身状態が悪化しだしたとき、舌がきれいだったら、
直ちに「No.3ファーランフォス12X」を使う。15分ごとに1投与が一番よい。
鼻汁が止まり、粘膜の腫れも引いてきたら、2~3時間毎に1投与に減らしてよい。有機的組織を安定化させるために、それをさらに1~2日間続ける。
◆3.熱
体温が39度未満なら「No.3ファーランフォス12X」がよい。炎症の初期には、内
在する鉄を活性化することが重要だからである(この段階で純粋な鉄を与えた
ら、たちまち悪化する。「内在する」がポイント!)。
急性の段階なら毎時間投与が適している。経過が激しければ激しいほど、ますます
頻繁にシュスラーソルトを投与しなければならない。すなわち5~15分ごとのリピ
ートが必要である。改善が見られたら、投与間隔を延ばす。
体温が39度を超えたら、シュスラーソルトを変えなければならない。
この時は「No.5ケーライフォス6X」の方が適切である。患者は「どんなことをし
ても症状は悪化するが、ほどよく運動すると改善される」と言う。
No.5ケーライフォス6Xは、我々の体内の抗生物質的存在である。これは、伝染病にかかって明らかに体力が衰えた時に適している。
◆4.腰痛と突き刺すような痛み
ずぶ濡れになったことが原因の典型的な風邪で、同時に腰痛が出てきたときや、
痛みを訴える人が「引きちぎるような、射るような、刺すような、痙攣のような」
激しい痛み方をするという時は、マグネシウムの代謝障害がある。
そういうときは「No.7マグフォス6X」が適しており、ホットセブンの形でとるの
が一番よい。10錠(10滴)のNo.7を熱いお茶に溶かして、木製のスプーンでかき
混ぜてから、15分以内に一口ずつ飲み干す。
このときに注意すべきなのは、すぐに飲み込まずに、一口を十分口中に含んでおく
ことである(口腔粘膜を通して情報を直接吸収させるため)。これを場合によって
は数回リピートする。
No.7マグフォス6Xの症状は、暖かさと圧迫で好転し、冷たさで悪化する!特に痙攣性の咳は、これにすぐ影響を受ける。
◆5.ヘルペス
水っぽい分泌物が多量に出る鼻風邪で、唇にヘルペスの小水疱が現れたら、
No.8ネイチュミュア6Xが役立つ。但し、ヘルペスの小水疱が直接赤い唇に現れた
場合は、むしろNo.4ケーライミュア6Xがよい。
次は、舌苔の分析をするだけである(白色ならNo.4ケーライミュア6X、黄色なら
No.6ケーライソーファー6X、ネバネバして透明で舌の縁に小水疱があったら
No.8ネイチュミュア6X)。
さらに、暖かさで好転、または冷たく新鮮な空気で好転、と対応する傾向があれば、No.1~12から適切なシュスラーソルトを選択する。
◆6.湿った寒い天気で悪化
泌尿生殖器路の疾患や胆嚢炎になり、同時に白っぽかったり淡黄色の舌苔があり、湿気で症状が悪化する時には、No.9ナットフォス6Xをはっきりと示唆している。
しかし、それだけではない。
結膜炎や扁桃炎、咽頭炎でさえ、病気の徴候がシュスラーソルト像と一致するならば、No.9ナットフォス6Xで治癒できる。
同様にNo.9ナットフォス6Xは、胃粘膜炎のとき、あるいは年をとった人が、秋になるといつも悪化するリウマチや痛風に苦しんでいる時にも、すばらしい効果を発揮する。
◆7.頭痛と前頭洞炎
前頭洞や上顎洞に粘り気のある粘液が詰まっていると、この空洞組織内の圧力が高
くなる。これが、特徴的なインフルエンザ性の頭痛の原因となる。
こういう時、No.4ケーライミュア6Xによって、その痛みは耐えられるものになる。
これは粘り気のある粘液を液化して流出させるので、確実に治癒させることができる。その上、有機的組織の再生力が促進される。
シュスラーソルトによって有機的組織の環境が変化する為に、穏やかに、そして簡単に病原菌を培地から遠ざけることができる。
そしてその時、どのような病気が存在するかということはどうでもよい。何にせよ、病気の症状はシュスラーソルトの像と一致していなければならない。
もしも病人の舌に白い舌苔があり、暖かさを求め、脂っぽい料理を嫌悪するといった手ががりが示されるならば、一番適合するシュスラーソルトは、No.4ケーライミュア6Xである。
◆8.咳はみな同じではない
咳の場合も、よく観察して、シュスラーソルトの各説明と見つけた症状とを比較し
なければならない。確かに最初は少々おぼつかないかもしれないが、一度うまくい
けば、観察によって、大変スムーズにシュスラーソルトを選択できるようになる。
激しく咳き込む咳はNo.2カルクフォス6X、晩に激しく現れる咳がもう何週間も
何ヶ月間も続いているようならNo.6ケーライソーファー6X。
慢性病のケースで長期間にわたって改善が起こらないような時には、特別な注意を
払うべきである。それは、選択したシュスラーソルトが間違っていたか、あるいは何かを見過ごしたかである。
No.6ケーライソーファー6Xの場合には、ちょっとしたヒントを付加えておこう。
No.6が、確かに改善を引起したけれども、まだ治癒には至らないという時には、
No.10ナットソーファー6Xを考慮しよう。両者は硫黄化合物である。
No.10は、特に黄色い痰の出る喘息や慢性気管支カタルのとき、治療を終了させることができるだろう。
No.11シリカ12Xは、咳で喉にムズムズ感が生じた時に使うとよいだろう。シリカの咳は、話したり飲むことによって引き起こされることがある。咳のし過ぎで喉が傷つくこともある。
咳が乾いていたら、No.8ネイチュミュア6Xを選ぶとよい。
[2]炎症の3段階
第1段階に適したシュスラーソルトは、「No.3ファーランフォス12X」である。
炎症の第1段階は「分泌物がなく、乾燥して、腫れている」と特徴づけることができる。それは例えば、月並みな日焼けや切り傷、又は初期の鼻風邪かもしれない。
舌は舌苔がなく、きれいである。
第2段階に適したシュスラーソルトは、「No.4ケーライミュア6X」である。
炎症の第2段階では、白や灰白色の分泌物か、白い粘液性の分泌物がある。扁桃炎
や気管支炎がこの段階にあたる。顔色は、青白くしていることが多い。
炎症の第1段階で治ることなく症状が進んだケガ、打撲傷、腫れも、この段階に数える。
第3段階に適したシュスラーソルトは、「No.6ケーライソーファー6X」である。
有機的組織が自ら治癒できない時には、自動的に炎症の第3段階となる。
この段階は、黄色い粘々した分泌物が際立った特徴である。例えば、黄色い粘々し
た分泌物の閉塞性感冒で合ったり、咽頭カタルや気管支カタルで黄色い膿の混じっ
た痰が出たり、肝炎として現れたりする。慢性状態では、皮膚が黄色く変色していることが多い。
舌は黄色い舌苔で覆われている。
(補足)
舌苔の状態から身体の炎症状態が判断できることは多い。なお、舌の状態を正しく判断するには、食事を6~8時間控えた後の早朝、すなわち朝食前に行うことが大事である。
[3]2つの例、赤い顔
◆急性発熱性疾患が原因である場合がある。
ラーマクリシュナン医師のシュスラーソルト処方は以下通り。
◆耳鼻咽喉科の病気
◎<ケース1>113kgの病的なメタボリックシンドローム
この場合、すぐにNo.3ファーランフォス12Xを考慮し、短い間隔でリピートして
とらせる。短時間で顔の赤みが引いていくのが観察できるだろう。
◆過酸化症(特に肉やソーセージ、動物性タンパク質、コーヒーなどの過剰摂取に
よって引き起こされる)の場合も、顔に赤みが観察される。
この「酸のマスク」は、鼻や頬の部分に赤いチョウの形となって現れる。
この場合、すぐにNo.9ナットフォス6Xが考えられる。正しく選択された成分で
あれば、服用後に赤みはみるみる消失する。
以上は急性症の2例ですが、見た目の変化がはっきりしたものであればあるほど、
それだけ無機塩の代謝も大きく妨げられている可能性がある。その分だけ、長い期
間をかけて我慢強く錠剤をとり続けていく必要がある。
どうか顔診断の利点をよく考えてほしい。無機塩の不足が病気の発現に影響を及ぼすかなり前に、それを顔から認識できるのである。
[4]ガン治療
・骨ガンに No.1カルクフロアー
・血液ガンに No.3ファーランフォス
・皮膚ガンに No.8ネイチュミュア
・膀胱ガンに No.9ナットフォス
・膵臓ガンに No.10ナットソーファー
・骨膜ガンに No.11シリカ
通常、シュスラーソルトのポーテンシ―レベルは6Xか12Xに固定されているが、ここでは6Xで使用すること、後に12Xで使用することが重要である。
どのくらいの期間与えるかは、ガンの種類と重症度によって異なる。ラーマクリシュナンの経験によれば、シュスラーソルトは無限にとり続けてもよいが、通常は2年間である。
なお、シュスラー博士によれば、ガンという病は、体細胞における無機塩代謝が狂ってしまった最悪の状態を意味する。
そこで彼は、有機的組織の治癒努力をサポートする為にNo.7マグフォス6X、
No.11シリカ12X、No.1カルクフロアー12Xを優先的に使用した。
さらに個々のケースの状況によっては、No.2カルクフォス6X、No.5ケーライフォス6X、No.6ケーライソーファー6X、No.8ネイチュミュア6X、No.9ナットフォス6Xも使用した。
[5]その他
しばしば鼻粘膜(反射領域)への軟膏使用がうまくいくことが実証されている。
◆急性の痛みや痙攣発作
この場合は、「ホットセブン」。
これは、No.7マグフォスの特別は服用法で、5~10錠のNo.7マグフォス6Xをコップ1杯の熱湯に入れて混ぜ合わせる。
我慢できる熱さになったら少量ずつ飲む。その際、一口ごとに十分に唾液と混ぜ合わせるようにする(口腔粘膜から摂取させるため)。
経験から言うと、コップ1杯飲み終えたら15分間隔をあけてまた飲む。これを2,3回繰り返す(2回目以降は、途中の間隔を更に延ばす)と最終的に成功する。
C.臨床事例
彼女の顔は、脂肪質の赤味を示しており、てかてかと輝いていた。舌は白い舌苔で
覆われていた。あらゆる症状は、湿った冷たい天気の時にいっそう悪化した(以上
の情報からシュスラーソルト選定が可能になる。以降これ関連情報は全て記載省略。詳しくは書籍参照)。
加えて、この女性はかなり興奮しやすかった。また便秘に苦しんでもいたので、
毎日4回、No.9ナットフォス6XとNo.10ナットソーファー6Xの錠剤を交互に舌の上で溶かして摂った。
さらに、最初の週は毎日、160mlのアーティチョークのジュースをたっぷりの水
で割り、1日に何回かに分けて一口ずつ飲んだ。のちに第2~6週まで、ジュースの
量は1日あたり80mlに減らすことになった。
彼女は身体に必要不可欠な物質をすべて補給する為に、ブルーカー博士の非常に価
値ある栄養法の基準を実行に移したのである。すると数日もしないうちに、便通が活気づき、6週間後には100kgを下回った。13ヶ月後、彼女の体重計は72kgを表示した。
なお、上述したこの2つのナトリウム塩は、脂肪組織の水分を排除し、老廃物を排
し、代謝を活発にして、栄養成分を適切に活用させた。中間シュスラーソルトと
して、No.5ケーライフォス6XとNo.7マグフォス6Xが使用された。
代謝が調節されることによって、神経は安定し、空腹感は弱められ、コレステロール値は自然に低下した。
◎<ケース2>繰返し起こる椎体のズレ(脊椎すべり症)
No.11シリカ12XとNo.1カルクフロアー12Xを、1日おきに毎日4~5回ずつ服用した。
さらにNo.1カルクフロアー12Xの軟膏を、朝と晩に痛む箇所にすり込んだ。
背中全体は膀胱系の影響下にあるので、No.7マグフォス6Xによってこの経脈の安定化を図る。
肝臓の解毒の為に、夜にNo.6ケーライソーファー6Xの肝臓湿布を実施。肝臓は、
我々の体内で大きな代謝工場のような役割を持っており、炎症が起きたとき、その経過は非常に重要な関わりをもつ臓器である。
同じく細胞の構成にも深くかかわっており、このケースでは、脊柱の靱帯の細胞の生まれ変わりに重要な関わりを持つ。
さらに朝と晩に、スギナジュースを1杯分ずつ摂る。スギナはシリカを豊富に含む。従って、身体の再生のためにも十分なシリカが供給されることになったのである。
これと併せてNo.11シリカ12Xを摂ることによって、いっそう代謝が促進された。
また、このケースでは、最初の3週間にクエン酸マグネシウム塩が処方されたことを特記しておきたい。
これは、慢性的な炎症プロセスによって生体からマグネシウムが欠乏していくことへの対応策として、朝と晩に追加的に摂られた。
これらは彼に素晴らしい効果をもたらした。次の試合の時、我々全員が驚いたことに、痛みが現れなかった。
◎<ケース6>慢性の副鼻腔炎
頭蓋骨の洞の疾患というものは悪性で、そこに一度はっきりと炎症が現れると、
慢性傾向になりやすい。子供の場合は、特に篩骨洞に炎症を起こすことが多い。
大人の場合は上顎洞に炎症が起こることが多い。
No.12カルクソーファー6Xを1日に数回5,6錠とることで、慢性の炎症は治癒。中間処方として、No.6ケーライソーファー6Xが与えられた。
◎<ケース9>老人性白内障・黄斑変性症
No.1カルクフロアー12Xを朝1錠×14日間
次に、No.1カルクフロアー6Xを朝1錠×14日間
次に、マグフロアー12Xを朝1錠×14日間
次に、マグカーブ8Xを朝5滴×4週間
このリズムを4回続けて行い、丸1年が完了したら、更にこのリズムを繰り返す。
最初のシュスラーソルト、No.1は、組織にぴんと張りをもたせ、なおかつ弾力性を
持たせるのであり、リンパを刺激して流れるようにする。そしてマグネシウムが細胞内に入れるように細胞を開かせる。
他の2つの塩は、目に非常に有効であることが証明されているマグネシウム化合物
である。3ヶ月後に病気の進行は止まり、1年後には視力がはっきりと改善。
◎<ケース12>肝硬変と出血性の膀胱腫瘍
最初は毎日2時間ごとNo.6ケーライソーファー6X+肝臓の解毒と肝臓機能促進用のオオアザミのエキス
細胞内のタンパク質の構築と再生には、No.2カルクフォス6XとNo.4ケーライミュア6X。
また、腹水症によって太鼓腹になっていたため、No.12カルクソーファー6Xを補い、No.10ナットソーファー6XとNo.8ネイチュミュア6Xを交互投与したのは効
果的であった(ナトリウム塩は水分バランスの調節に実に重要である。これにはとてつもない解毒作用がある)。
シュスラーソルトは、摂取規則に従って毎日交代で投与された。半年後、仕事ができるまでに回復。
◎<ケース14>線維筋痛症
No.2カルクフォス6Xを1日3回×1錠を食前にとる。筋肉痛がひどい時には追加でNo.7マグフォス6Xを「ホットセブン」にして1日に数回使用した。
また、特に痛む背中の部分に、No.1カルクフロアー12Xの軟膏を少なくとも1日に1回すり込んだ。8週間後に痛みは消失し、その状態が続いている。
◎<ケース15>子宮脱
結合組織の強化と解毒の為にNo.11シリカ12X。これと硬化剤であり軟化薬でもあるNo.1カルクフロアー12Xを日替わりで1日3回1錠ずつ。
このコンビネーションは、もう何十年も効果を上げ続けており、この2つのシュスラーソルトは、体の組織全体、特に結合組織に素晴らしい再生力を生じさせる。
さらに、乾燥ヨモギの葉でお灸も実施。
お灸の放射熱の波長は、我々の身体細胞の波長と一致しているので、組織の再生強化が促されるのである。夜に、膣とへその間を任脈に沿って温めた。
6週間欠かさず実施して完治。
◎<その他のケースの抜粋>
・前立腺肥大を縮小する為には、No.1カルクフロアー12XとNo.7マグフォス6X
をコンビネーションで用いるのがよい。No.7のマグネシウムは、泌尿生殖器全体
の細胞再生と硬くなった組織に柔軟さを取り戻すために重要である。また、マグ
ネシウムは膀胱経の強化に直接的な影響を及ぼす。
・水虫には、軟膏のNo.10ナットソーファー6XとNo.8ネイチュミュア6Xを、日
替わりで2度3度すり込むと、皮膚の環境変化が起こり、水虫菌はそこに住み続け
ることができなくなって消えてしまう。